「事業を成功させたい。どうやってPRすれば良いだろうか?」という相談やお話を頂くことが良くある。その際に大切なのは「そもそも、何をどうしたいか?」という点だ。具体的に言うと「自分がやりたいことをしたい」のか「お金を儲けたい」のかである。

たとえば農業。「作りたい作物」を植えるのか、「売れる作物」を育てるのかという「そもそも」のポイントで変わってくる。結論から言うと、どちらかに振り切れている方がいいのだ。

以前、私の趣味はサバイバルゲーム(サバゲー)だった。その時に感じたのは「サバゲーが大好きで、自分が楽しめるフィールドを追求したい」あるいは、「お金儲けのためにやっている」という、どちらかに振り切れているオーナーさんも中にはいらっしゃるのだが、「サバゲーが好きで始めた。好きなことをして、お金も儲けたい」というオーナーさんもいるということ。

「好きを極めたい」であれば、徹底して自分好みのフィールドを作り上げ、それが好きな“コアなファン”が付く。あるいは、「お金儲けをしたい」であれば、逆に徹底して客の要望を取り入れてフィールドや運営手法にフィードバック。顧客満足度数を上げることで、多数のお客様がやってくる。その後、2年ほどみていると、どちらかに振り切っているところは今でも残っているが、「好きなことをやって、お金も儲けたい」というところは閉鎖されているようだ。

もう一つ例をあげたい。2005年にホリエモンこと堀江貴文が、ニッポン放送に買収を仕掛けた。その際、メディアは蜂の巣をつついたような大騒ぎになったのだが、その時、伊集院光が「ニッポン放送の株を買ったので、それをホリエモンに売ってあげる」という悪ふざけ企画が、TBSラジオで放送されていた。

伊集院光はもともと、ニッポン放送のオールナイトニッポンなどで、一躍「ラジオ界のレジェンド」に躍り出た存在。ちなみに、私は第一回目から、聞いていたりする。当時、伊集院光は全く無名の存在。オールナイトニッポンは「1部」と「2部」にわかれているのだが、筋肉少女帯の大槻ケンヂファンだった私は、「1部」で大槻ケンヂがパーソナリティをすることを知り、その流れで「2部」を聞いたのだが、その話術や企画力に魅了され、ずっと聴いていた。

その後、伊集院光はニッポン放送を追い出される時、ニッポン放送のスタジオでの放送中にTBSラジオのプロデューサーから口説かれて引き抜かれる。──「悪ふざけ企画」では、そういった経緯を踏まえて、「株を売ってあげるので、ニッポン放送を買収したら、僕をオールナイトニッポンのパーソナリティにしてくれ」とホリエモンに要求するという放送内容。

その中で、フジテレビをなぜ買収したいかを問われた時に、ホリエモンは「テレビ局は、自分たちが作りたいと思った番組ばかりつくっている。それではダメ。“視聴者が求めている番組”をつくるのが当たり前じゃないですか。たとえば『冬のソナタ』というドラマは、当初主人公が死ぬ予定だった。でも視聴者からの“主人公を殺したら、もうお前のところのテレビは見ないからな”という意見を受けて、脚本を書き換えた。このように、視聴者からの声をポジティブフィードバックとしてすぐに反映し、利益を追求することが正しいのである」という論を展開。

対して伊集院光は、「主人公が死ぬドラマなのなら、それを視聴者からの意見で変えてはいけない。でも、視聴者が納得する形で殺すことは大切だと思うけどね」という立場だった。

これは「創り屋」と「売り屋」の違いでもあり、ニーズとシーズの違いでもあると思う。真っ向から衝突した形の2人だが、双方ともに己の道を貫き続け、今でも活躍している。

私自身、「創り屋」なので、完全に伊集院光を支持する。マーケットにおもねる、媚びるだけでは新しいものは生まれない。ウォークマンだって、iPhoneだってそうだ。ただ、立場は真逆とは言え、ホリエモンも成功していることは事実である。そこは「好き嫌い」ではなく、結果が大切なのだ。

自分の立ち位置や、考え方に沿って、「ニーズ」か「シーズ」に振り切って考え、実行する。それが事業の成功に繋がるではないだろうか。